「さて、この世界についてだったね。 私が説明してもいいけど……
ここはみんなに任せようか。 そっちの方がおもしろいだろうしね」
● この世界について 第1話 ●
「さて〜、何を説明しましょうか〜」
「……この世界について、でしょ」
「ヒミカたちにまかせたー」
「まかせた〜」
「では、わたしもヒミカに――」
「ハリオンまでサボってるんじゃないの! まったく……なんのために時間を取ったんだか」
「お菓子?」
「おやつー」
「はいはい〜。すぐに準備しますねぇ〜」
「しなくていいのっ!」
「えーー」
「お菓子……ひっく……
「あ、う……」
「いきなり大声出しちゃダメですよ〜。 お茶でも飲みながらのんびりと話しましょう♪」
「わかった……もうそれでいい……」

  

「はいどうぞ〜」
「ありがとうございます」
「シアーね、お茶淹れるのすっごく上手くなったんだよ」
「えへへ〜♪」
「本当に美味しいですねぇ」
「さて、それじゃ今度こそ――」
「緑亭、特製焼き菓子の作り方を〜」
「なにを教えるつもりなのよっ!」
「あぁ〜。企業秘密でしたか〜」
そうじゃなくて、世界! この世界の話でしょ!!
 ほら、きっと通信機の向こうのイオも、怒ってるわよ!」
「こっちのことを世界中のみなさんに知ってもらうんですよね。神剣通信って、便利ですねぇ〜」
「はぁ……とりあえず、先に進めよっか。 ん、と。ネリー、わかる範囲でいいから、言ってみて」
「はーい。 えっとね、この世界の名前はファンタズマゴリア!」
「前の戦争の時に来たカオリっていう女の子が、好きな本に出てくる名前からつけたの」
「ネリーたちにとっては、世界は世界だから、名前なんてどうでもいいんだけどねー」
「ね〜」
「ふむふむ、それで」
「いじょーっ!」
「少なっ!」
「よく勉強しましたねぇ〜」
「えへへー」
いや、してないんでしょっ! ていうか、ネリーもなんで照れてるのっ!!」
「??? ヒミカ、なんで怒ってるの?」
「うがーーーーーーっ!」

  

「うー、ヒミカに叩かれたー」
「シアーも〜……」
「はぁ、はぁ……す、少しはちゃんとしてっ!」
「あらあら〜。怒りすぎはよくないですよ。 はい〜。今度は鎮静作用のあるお茶を淹れてみました〜」
「わぁ〜、いいにおい〜」
「とっておきのお茶ですから♪」
「飲んどくから、ハリオン、補足お願い」
「はいはい〜」
「まだ言うことってあったっけ?」
「ガロ・リキュアって国があるってこと?」
「そうですね。わたしたちはガロ・リキュア王国の首都、ラキオスで暮らしていました」
「ハリオンたちは、城下町にー」
「シアーたちは、お城の側のスピリットの館に〜」
「はい、そうです。それでは質問、今度の舞台はそこだけですか〜?」
「え? う〜んと……」
「わたしたちが今いるのはどこですか?」
「えっと、龍の爪痕の向こう側?」
「正解〜。わたしたちは、空飛ぶ舟であの大亀裂を渡ってきました」
「ウィング・ハイロゥで飛んで来れればいいのになー」
「疲れて、途中で落ちちゃうよぅ」
「青スピリットのみなさんも、際限なく跳び続けられるわけではありませんからねぇ」
「うん」
「で、でも向こう側に天国が――ハイ・ペリアがあるならっ!」
「がんばっても無理だよぅ」
「それに、さてここは天国なんでしょうか〜?」
「むー。どうだろ。楽しいけど……」
「えとね、楽しいけど、怖いこともたくさんあるの」
「島はぜーんぶ、空に浮いてるしね」
「それだけじゃなくて、その島の中もすごく変だったりするし……」
「ネリーは面白いけどなー」
「シアーは、ちょっと怖い……」
「こんな感じで、わたしたちはいくつもの島を巡りながら、探検をしています〜」
「………………」
「あれ、どしたの、ヒミカ?」
「どうしたの〜?」
「あんたたちはもう……」
「ん〜〜?」
「ちゃんとできるならっ、どうして最初っからやんないのよっ!!」
「あらあら〜」

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