「さて、始めましょうか」
「はい」
「今日の目的はわかっているかしら?」
「滞在中の街の説明です。まとめておきました」
「あら、それじゃお願いできる?」
「はい。まず、この街の大きな特徴は、島の面積の半分を覆っている半透明の“壁”です」
「この“壁”は防護壁。外敵の侵入を退けるためのものね」
「街の中、建物の外観はラキオスの建築様式に近いです」
「あくまでも、外から見た範囲はね」
「内装は、外観とは大きく異なり、金属のような光沢のある材質で作られています」
「内と外でのあまりの差に、わたしも面食らったわ」
「建築様式以外の部分では、街中に緑が多いのが目につきます」
「これは推測だけど、“壁”のおかげで、自由に外に出られないせいじゃないかしら?」
「人は身の回りに緑を求めると聞いたことがあります」
「じゃあ、きっとそのせいね」
「はい。発見した人の住んでいる場所は、今のところここだけです」
「そうね」
「………………」
「………………」
「………………」
「あの、ナナルゥ、もう終わりかしら?」
「調べたことは以上です。補足をありがとうございました」
「え、ええ、それはいいんだけど……」
「………………」
「………………」
「………………」
「……その、もう少し話すことはない? なんだか、わたしたちのところだけ早すぎるわ」
「話すことですか」
「………………」
「………………」
「………………」
「何も浮かびませんでした」
「そ、そう。じゃあ…………そうだ、ナナルゥは草笛得意だったわよね。聞かせてくれない?」
「わかりました」
「………………」
「〜〜〜♪」
「…………よく考えたら、これって会話にはならないわね」
「〜〜〜♪」


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